正しいお散歩シリーズその5 散歩時におけるペットトラブル(1) -2009.6.4更新-
最近、曇りや雨の日が多いですよね。
こういう天気が続いて、気がついたら梅雨入り・・・なんでしょうね。
梅雨に入るとワンコの散歩回数も減り、ストレスが溜まりやすくなります。
こういう時期は、散歩に行けない分、しっかりと遊んであげるとよいでしょう。
さて、今回は散歩中に起こるペットトラブル事例(1)をご紹介します。
なお、ペットトラブルは状況によって解決方法がさまざまですので、事例は漠然とした内容のものをご紹介します。
【事例】散歩中の犬に噛まれて怪我をした。飼い主にどういう請求が出来るか?
犬が犬に噛みついたという例もよくありますが、今回は犬が人に噛みついた事例でお答えします。
まず「ペットを飼う者の責任」を考えてみましょう。
民法718条1項にはこのような記載があります。
「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りではない」
つまり、動物の占有者(今回の場合は飼い主)は原則として、他人に危害を加えた場合に発生した損害(今回の場合は怪我など)に対して賠償責任があるということですね。
ただし「相当の注意」を払っていた場合には例外的に賠償責任を負わないことがあるということです。
では「相当の責任」とはどのような程度をいうのでしょうか。
「相当の注意」とは、簡単に言うと常識的に考えて払うべき注意のことを指します。
したがって、今回の事例で考えると、犬に噛まれた時に飼い主が常識的な注意を払っていたかが問題になります。
噛んだ犬が大型であるか小型であるか、犬の種類や性格によって被害の程度も想定できると思います。飼い主として飼い犬の特性を理解していて、それ相当の注意を払っていたかがポイントになります。
ノーリードにしていたとか、リードを長くしていてすぐに制動できる状況ではなかったというのは相当の注意を払っていたとは言えませんので、こういう状況だったとすると、飼い主責任は大きいと考えられます。
飼い主が相当の注意を払っていた。例えば、愛犬の性格上、散歩中は興奮しやすいので通行人には近づかせないように配慮をしていたのにもかかわらず、相手から近づいてきて最悪の事態が起こってしまった・・・。
こういう場合、飼い主として「相当の注意」を払っていたと考えられます。
さらに、近付いてきた人に「手を出したら噛むかもしれませんよ」などと警告をしていたならなおさらです。
ただ、実際のところ、噛んだ、噛まれたという事故(口咬事故)のほとんどは飼い主の不注意から起きています。相当の注意を払っていて事故が起こることは少ないといえます。
では、今回の事例で飼い主が相当の注意を払っていなかった場合、被害者はどういう請求が出来るでしょうか。
怪我の程度にもよりますが、次の費用が請求できると考えられます。
(1)怪我の治療費(その怪我の治療にかかる費用に限られる)
(2)治療のための通院交通費(常識的な交通手段に限られる)
(3)休業損害(怪我により仕事が出来ない場合)
(4)慰謝料(入院や通院期間を総合的に算定する)
損害賠償の問題が発生したら、できるだけ話し合いでお互い気持よく解決が出来るように事を進めていきましょう。最終的には「示談書」を作成し、お互いが嫌な気持ちにならないように解決することを勧めます。
ただ、話し合いで解決しない場合には、裁判所による調停や訴訟も検討しなければなりませんので、できるだけ示談で解決させることをお勧めします。
次回は「散歩時におけるペットトラブル(2)」をご紹介します。