改正動物愛護法(1)-2012.10.12更新-
2005年6月に現行法である「動物の愛護及び管理に関する法律」(以後「動物愛護法」)が改正され、翌年6月に施行されました。この法律は5年を目安に検討する旨が明記されていて、昨年がその5年目だったのですが、東日本大震災の影響を考慮し、震災後1年が経過した本年の改正に至りました。
パブリックコメント(意見公募)を繰り返し、有識者や動物取扱業者、ボランティア団体、一般の飼養者などの意見を積極的に取り入れ、ヒトと動物に関する社会問題などを加味し、現行法と比較してより動物愛護の精神が強い改正法が8月29日、参院本会議で可決、成立しました。
では改正内容を確認してみましょう。
【1】幼齢動物(犬・猫)の販売規制
生後56日を経過しない犬と猫を繁殖業者が販売のために引き渡したり展示したりすることを禁止。
ただし激変緩和措置として、施行から3年間は生後45日、その後は49日と段階的に期間を延長する。56日への変更は施行後5年以内とする。
まず初めに申し上げます。日本は子犬の販売(譲渡)に関して明確な基準が無い国なんです。2006年改正時も今回の改正のように「生後8週齢未満の生態販売禁止」案が浮上していましたが、多くの反対により「離乳を終えた動物(哺乳類)の販売」と曖昧な表現で成立しました。「離乳を終え」とは母犬の乳に頼らず自力で食事ができるという意味ですが、それが可能な子は販売や譲渡しても良いということになるため、なるべく早くオークション(セリ)や店頭デビュー時期を考慮し、逆算して早期に離乳をさせる繁殖者(ブリーダー)が多いのが実情です。
これにより犬猫にとって重要な社会化期に必要な経験ができず、社会性や性格などに悪影響が出てしまう場合が多くなり、飼養が困難な犬になることも。
今までなかった法規制により激変緩和措置が取られましたが、欧米諸国のペット先進国同様、わが国でも「8週齢ルール」が確立されることを願います。