株式会社 なんば建築工房　建築実例詳細　　上質な和のしつらいで 表現する「もてなしの心」【宴を...

　障子越しの丸窓から淡い光の入る玄関。洗い出しの三和土、マツの縁甲板を張った小空間に、人を迎え入れる清々しい空気が満ちる。閑静な山端の地に新居を求めたYさまは、この家を友人知人が和やかに集える場にしたいと考えていた。玄関の続きに設けた「囲炉裏の間」はまさにその想いを叶えたもので、どっしりとしたケヤキの囲炉裏を囲み、気の置けない仲間たちと居酒屋のようなくつろいだ時間を過ごすことができる。
　全体のプランは、北に向かって緩やかに下っていく敷地に素直に沿って設計された。高い建物が迫る南は閉じ、東の中庭から光を入れる。敷地の高低差に合わせて北側の床面を一段下げたことにより、高さを抑えた安定感のある外観ができた。囲炉裏の間から続くリビングは、濃色の床材や家具を入れ、ややモダンな雰囲気に。中庭を囲む2面を開け放てば、太い大黒柱を残して遮るものなく内外一体となる。こうした南側のオープンな空間に対し、北側はダウンフロアであることも相まって、落ち着きのある家族の生活の場がつくられている。
　趣のある朝鮮張りの床や、中塗り仕上げの土壁、機能と意匠を併せもつ建具といった伝統的な和のしつらいは、まさに「なんば建築工房」の真髄といえるもの。自社職人による丹精込めた手仕事の跡に、家人の「もてなしの心」が表現されている。