株式会社 なんば建築工房　建築実例詳細　　「町屋」のような暮らしやすさを追求した住まい

　華美を誇るのではない。生活に必要なものが合理的に備わり、心地よく住めるよう知恵が凝らされた、昔ながらの「町屋」。そんな住まいを望むご主人の思いを、設計者の正田さんは語らずともすぐにくみ取ったという。リビングの天井に渡された柿渋塗りのケヤキの梁は、堂々たる意匠であるとともに、大空間を支える補強。吹き抜け上のキャットウォークは、圧巻の設えでもあり、外側のバルコニーを絶妙なバランスで支持する重要な構造材でもある。「必然的な存在だからこそ美しい」という感覚を創り手と住まい手が共有しているからこそ生まれた設計だ。建築に入ると、徐々につくりあげられていく家の格式に合わせ、さらに上質の素材を用いたり、造作のひと手間を加えたりと、職人の手仕事により建物は一層磨き上げられた。素材も技も全てが本物。玄関の見事な木目と艶をもつ式台や框、キッチンカウンター下の舞良戸（まいらど）など、細部まで妥協のない要望以上の住まいとなった。