株式会社 なんば建築工房　建築実例詳細　　和風建築の粋を集めた美しき大空間

　瓦屋根が存在感を放つ和風建築。家づくりの舵を切ったのは「何事にもこだわりが強い」と自らを評するOさんご夫婦だ。「築約80年の実家をリノベートするつもりだったので、和風建築以外の選択肢はありませんでした。結局新築することにはなりましたが、伝統建築のコンセプトはそのまま残すことになったんです」。そんなOさんの新邸は、ヒノキの柱にスギの舞良戸、太鼓襖など無垢の木材と匠の技が散りばめられた数寄屋造りの平屋建築。中でもご夫婦のこだわりの深さを象徴するのが、玄関正面の鮮やかな朱色だ。大津磨きと呼ばれる土壁で、極めて高度な技術を要するため施工できる職人も国内に数名の貴重な設え。周囲の建具や部材もそれぞれ専門の職人が手掛けたもので、すべてが美しく調和し合う空間にOさんの感性の高さがうかがえる。一方、素直な長方形に配されたＬＤＫは30代の若いご夫婦らしいモダンな印象。けれどウッドデッキとひと続きに見せるこの開放的な大空間も、やはり和風建築技術の成せる業。「軒先を天秤の仕組みで支える桔木構法になっているので、無駄な柱がない。小さな子どももいるので、この開放感はうれしいですね」。伝統に培われた日本建築の技は、現代の暮らしにも最適の解となったようだ。