kitokito　建築実例詳細　　時間を掛けた打ち合わせと間取りで施主の願いを叶える

　ある設計士が、とある分譲地の中で、施主がどのようにして豊かに暮らしていくかを思いながら間取りを考えていた。敷地の隣には神社があり、境界には緑が茂っている。その緑を少し借りて、家の中に取り込む計画とした。庭を囲むようにLDKを配置することで室内に穏やかな光が差し込み、緑豊かな庭を臨むことができる。LDKはそれぞれの間仕切りをなくして一続きにした。庭に面した大きな窓から土間デッキに出れば、テーブルを広げて朝ごはんを食べたり、子どもが遊んだり、外を身近に感じられる場所になっている。室内の天井と外部の軒の天井に同じ素材を張ることで、内と外に一体感が生まれる。太陽の動きや光の入る方向を考えることで、南向きの窓でなくても、室内は常に優しい光にあふれている。板張り天井と無垢の床材は、まるで木に包まれているかのような優しい空間をつくりだしてくれる。
　この木に囲まれた住まいを担当したのは、「kitokito」の設計士・大町さん。楽しく過ごしたい、落ち着いた生活を送りたい、開放的な空間にしたいというご夫婦の願いを、打ち合わせを何度も重ねて確かな形に落とし込んでいった。大町さんと話す中で、自分たちの夢を引き出してくれるヒアリングの力に心を打たれ、ご主人は「この人なら信頼できる」と感じた。Fさんご夫婦は着工から完成までの間、現場に何度も足を運び、家が建つ過程をじっくり味わった。職人の仕事ぶりを間近で見ると、その技術力の高さに感動したという。例えば、窓の柱に床板や天井の継ぎ目が揃うよう配したり、ドアや階段、家具などのインテリアを住む人の暮らしや好みに合わせて造作する。何気ない部分に確かな技術が隠されていた。
「大町さんのおかげで、思い描いた通りの暮らしが実現できました」と満足顔のご主人。四季折々の植物の変化を身近に感じ、庭と共に暮らす。季節が巡れば、薪ストーブで過ごす冬も待っている。ご家族と共に住まいも変化する。これからの未来が楽しみでもある。