KNOT 株式会社 押田建設　建築実例詳細　　窓いっぱいに映る緑に心がうるおう

　もともとは大正元年、Ｓさまの高祖父の代に建てられた家。建物の土台には見事な石垣が積まれ、屋根裏には迫力ある地松の太鼓梁が幾本も架かる。リノベーションはこうした無二の価値を生かしながらも、いわゆる古民家的な趣は抑え、シンプルで洗練された印象に仕上げられている。
　大きな梁を見せた吹き抜けのダイニングと、天井を下げた落ち着きのあるリビングが、一つの空間の中で対比する。空間を構成するラインはすっきりと整い、その合間に生まれた小さな余白が、心をほっと和ませる。この家ならではの特等席は、南西２面の窓辺。どちらも腰掛けられる高さの出窓にして、緑豊かな風景に寄り添う心地よい居場所をつくった。照明はぼんぼりを思わせる「ルイスポールセン」のペンダントを１灯と、他は小さなスポットだけを置き、陰影がもたらすくつろぎ感を楽しむ。
　インテリアを彩るのは、「フリッツ・ハンセン」のソファやＹチェアなど、Ｓさまお気に入りの北欧家具。ミニマムな北欧スタイルと重厚な伝統建築とが機能美のもとに融合し、１１０年にわたって受け継がれてきた家に、新たな命が吹き込まれた。