大畑建設 株式会社 　建築実例詳細　　上質な職人技が光る、時が静かに流れる空間

　部屋全体が、白色と濃い茶色のシックな色調で統一され、上品なセンスの良さを感じさせる。床には「なぐり」と呼ばれる、道具で表面に凹凸をつける技術が施され、部屋全体に重厚な雰囲気を生んでいる。「なぐり」は茶室や数奇屋建築に用いられてきた、凹凸を味わいとみなす伝統の技。その味わい深い意匠が、この家に馴染んでいる。
ご主人は、機械設計のお仕事に携わっておられ、細かな細工についても目が肥えている。大畑建設の丁寧な職人技はその厳しいお眼鏡にかなったようだ。
　室内の出っ張りとなる角（出隅）部分を丸みを帯びたアール状にする、というのが、初めからご主人がこだわった点。部屋の随所にその美しい細工が見られ、網代天井や「なぐり」の床など、古くから日本家屋の建築に使われてきた技法も施されており、品格漂う空間を生み出している。
　特に、2階のご主人の仕事場と寝室はその美しさに目を見張る。吹き抜けの空間にパソコンが並んだ仕事場は非日常的な雰囲気にあふれ、畳スペースが設けられた寝室では、天井の梁が贅沢な空間を演出している。
　入居して、ご主人が一番嬉しかったのは、「部屋が静かなこと」だったそう。以前は、騒音が部屋の中に響いてきていたのだが、このたびスーパーウォール工法で建てたおかげで、外の音が部屋の中に入って来なくなった。スーパーウォール工法は高気密施工で、優れた遮音性を発揮するため、屋外からの騒音が気にならない。また、屋外への音漏れ防止にもなるので、お母さまのご趣味である三味線の練習もご近所へ気兼ねすることなく続けられる。現在は、別の場所でひとり暮らしをしている音楽大学に通うお嬢さんのピアノも、お嬢さんの部屋で、彼女の帰りを待っている。
　しかも、高気密のため、部屋ごとの温度差が生じにくく、夏は涼しく冬は暖かい。365日換気システムのため部屋の空気が常にきれいなのも嬉しい。
　ご家族の上品な雰囲気が、丁寧な仕事による細工の一つ一つに表れているような、心地よい空間が広がっていた。