株式会社 平田建設　建築実例詳細　　構造と意匠を兼ねる 片流れ大屋根の家

　南に向かって大きく開かれた、片流れの大屋根が印象的な外観。一見シンプルでスタイリッシュな建屋だが、中に入れば和洋のエッセンスが入り混じり、随所にさりげない個性をにじませる。その最たる場所がLDK。梁をのぞかせた天井に木目際立つ和風の趣ながら、窓を構えた一面はブラウンの塗装をかけた横板を配してバイカラーに仕上げられ、どこかモダンな表情。また、東側の和室との境に設えられた建具は、軽量ツインカーボに細い木棒をはめ込んだオリジナルで、外光をぼんやりとにじませる簾のような涼やかさが、カジュアルなリゾートホテルを思わせるようでもある。
　「昔ながらの風習も根強く残る地域性。熟練の職人にしかできない日本家屋の伝統的な技巧を存分に反映しつつ、和風過ぎない、現代の暮らし方にも自然となじむデザインにしたかったんです」と棟梁の平田さん。丁寧な手技で施された木組みや板張りの合間にさりげなく溶け込む、ニッチやスタイリッシュなインテリア。遮熱性断熱性に優れた機能的な長期優良住宅だから、夏は南側手の庭から入り込む風がしなやかにくぐり抜ける開放的なLDKは、冬もしっかり温かい。何といっても、構造材をはじめほぼすべてに県産材を用いたこの家の魅力は、雄大な自然の中に入った時のあの安らぎを、いつも感じていられることだ。初めは新鮮だった設えも、暮らしが深まるごとに住み手と家の距離はどんどん縮まっていく。