株式会社 掛谷建設　建築実例詳細　　通り土間と坪庭に心癒される家

　家の中に入ったはずが、「?!」―長く広い土間に瓦葺きの軒が延び、再び家の表に立っている気がして驚かされる。軒の下には、美しい千本格子とよろい張りの板戸。手をかけて作られたこの造作は、日常に使う「下駄箱」だという。「普通に考えれば、このスペースはたくさん棚をつけてすべて玄関収納にするはず。でも」、と設計を手掛けた塩津さんは問う。「暮らしには心の潤いが必要です。不必要に収納を増やすよりも私たちは、そちらを優先したい」。「掛谷建設」の家は、一貫してその視点に基づいてつくられている。広いリビングは、南は大きく開け放ってデッキにつながり、北側にも小さな坪庭を抱く。坪庭は浴室からも眺められ、長らくシャワー派だったWさんはこの家になってゆっくりと湯船に入るようになったという。キッチンは、奥さまの希望で完全独立型に。横に続くダイニングもリビングとは分けられ、落ち着いた食事の空間がつくられている。また2階には、音楽の好きなWさんのために音響設備付きの寝室・読書の好きな奥さまのために書庫を確保。子育て真っ最中の今はなかなか時間が取れなくても、こんな場所が用意されているということが、毎日の暮らしにたくさんの夢や励ましをもたらしてくれる。「ゆとり」や「あそび」を大事にするスタッフたちの姿勢に、ご夫婦は心から共感。信頼し多くをゆだねたことで、「掛谷建設」の持ち味を存分に発揮する愉しい1邸となった。