株式会社 美作土建　建築実例詳細　　感性と技を結晶した美意識の宿る家

　どこかで見た古い木造校舎の写真を思い出させる、焼き板鎧張りの外観。3年前、自給自足の田舎暮らしを求めて岡山に移住したOさんご夫婦の新居は、山の端をぜいたくに切り拓いた広大な敷地の中にありながら、迫力というよりもむしろ、静ひつな存在感を放つ。家づくりには、建築やデザインなどに造詣が深いOさんの父親も深くかかわった。素材はもちろん、窓のサイズから建具の金具一つまで研ぎ澄まされた審美眼でセレクトし、室内の随所に配されたアンティークチェアやテーブルも、その多くがデンマーク製ヴィンテージというこだわりようだ。室内の設えには、、大谷石の床材や北欧風のタイル、米国製スイッチなど、和洋のエッセンスが取り入れられ、じゅうたん敷きのリビングライブラリーや薪ストーブを配した土間リビングなどの各スペースも、日本的であったり、ヨーロッパ的であったりする。「伝統的な日本建築の感性と北欧建築のそれは、共通点が多い」と設計を担当した「美作土建」の則本さんは言うが、それぞれが自らの個性を発揮しつつ、決してLDKとしての一体感を保つ理由は、それだけではない。周囲の自然を巻き込んだ壮大な借景との親和や、内と外とを緩やかにつなぐ空間の曖昧性を利用した、巧みな空間設計の成せる技なのだ。懐かしさにも似た心地よさが包み込むこの家には、住み手の感性と造り手の技とこだわりによって結晶した、崇高な美意識が宿っている。