高齢ペットの飼養管理⑤-2015.12.11更新-
前回のコラムでは老齢ペットの食事について触れましたが、もう少し話を続けます。
若年期と老齢期を比較して、食欲の差は感じると思います。若いときはガツガツしていたのに、年齢とともに食事に対する執着が薄れるという変化。もしかしたら病気の疑いも考えられますが、単に年齢的な物であれば、フードを食べやすい状態にしてみたり、食欲増進に繋がる食材をトッピングしてみたり…。
40度~45度程度に温めたものは食材の香りも漂いやすく食欲が出やすいもの。 あとは食器の高さもポイントです。食欲がある時はどんな場所においても気持ちがいい食べ方をしてくれるものですが、年齢とともに食事に時間がかかる場合、食器の位置が低いと食べにくい状態になり、その結果食事への興味が薄れることがあります。
理想は、普通に立った時に首を少しだけ下へ向ける場所へ食器をセットできる高さ。そうすることで食事が喉を通りやすくなり、食べようという気が起きやすくなります。
水飲みも同様です。ボウルに入れて与える場合も食事と同じ高さに、ドリンキングキットを使用する場合は、あごを上に向けて飲む位置だと高くて水が気管に
入りやすくなりますので、普通に立った時の鼻の位置もしくは若干下の位置にノズルをセットすると飲みやすくなります。水の温度も常温でも冷たい季節になりましたよね。冷水は胃をびっくりさせますし、体温を下げてしまいますので、老齢期には年中ぬるま湯が良いかもしれません。事実、ぬるま湯にしたら好んで飲むようになったという子もいます。
続いて飼養環境について。
老齢により昔のような活発な動きは出来ませんが、ゆっくり歩いてもフローリングは足腰に良くありません。
ここでポイントとなるのは「毛足の短い」カーペットやマットを敷くことです。爪を切っていても毛足が長いものやループ状のものは爪が引っかかりやすく、ちょっとしたことで足を気にするしぐさをし始めるのも老齢の特徴。
あとは段差。以前なら越えていた高さも躊躇しやすくなります。越えられないというストレスを感じさせない工夫も必要です。スロープの導入などペットにとってのバリアフリーを考えてあげてくださいね。