株式会社SANKO　建築実例詳細　　自然素材の温もりに高度な機能が潜む家

　格子の陰影が美しい玄関アプローチに、ストリップ式のリビング階段、陽光を取り込むインナーバルコニー。間取りや動線、デザインなど、語り始めればきりがないこの家の本当の価値は、しかし、目には見えないその工法にある。一般に日本の住居は、外壁が受ける暖気冷気の影響をその内側で遮断する内断熱が用いられるが、それでは外気と室内の温度差によって壁内が結露し、構造材を断熱材もろとも腐食させてしまう恐れがある。そのためこの家では、家全体を構造ごとすっぽりと覆う外断熱工法を採用。構造内の結露を抑制するだけでなく、温度ムラができにくいので、春夏秋冬、室内のどこにいても一定の快適さが保たれる。加えて、気密性レベルもトップクラス。総隙間面積は一般的な住宅のなんと約40分の1にまで抑えられ、外気は専用のフィルターを通って取りこまれるので、花粉やホコリ、ウイルスなどが室内に入り込む危険が少ない。集中換気システムによって温度・湿度・空気汚れのすべてが効率的に管理されているのだ。それほどの高機能住宅でありながら、決して無機質ではない、ぬくもりにあふれる空間が広がるのは、上質な無垢材をふんだんに用いているから。やわらかな木目が美しいマツの風合いと床材のさらりとしなやかな心地よさに、ご家族は冬の間もほとんど素足で過ごす。機能性と自然素材が紡ぎだす心地よさが、住まいの真価とは何かを教えてくれるような住まいだ。